背骨と骨盤のしくみ|腰に負担が集まる理由を「身体のつながり」から理解する
背骨のS字カーブ、骨盤の傾き、股関節と胸椎の役割、「腰は動きすぎてはいけない場所」という考え方。腰痛・坐骨神経痛・肩こり・膝の痛みを身体全体のつながりから理解するための基礎知識を、足立区扇の清水接骨院の院長(柔道整復師)が解説します。
監修:清水接骨院 院長 清水 正尊(柔道整復師)

この記事の要点
- 背骨はS字カーブで衝撃を分散し、骨盤はその土台。骨盤の傾きが背骨全体のカーブを変える
- 股関節と胸椎は「大きく動く場所」、腰椎は「安定を担う場所」。この役割が崩れると腰に負担が集まる
- 痛みの出ている場所と、負担をつくっている場所は違うことが多い。だから身体全体を確認する
腰の痛みを「腰だけ」で考えない
清水接骨院では、腰痛の方に対して腰だけでなく股関節や背中、足元まで確認します。「腰が痛いのに、なぜ股関節を見るのですか?」と聞かれることもあります。
その理由を理解していただくために、この記事では背骨と骨盤のしくみと、身体のつながりについて基礎からお伝えします。
背骨のS字カーブ
背骨は、首の骨(頸椎7個)、背中の骨(胸椎12個)、腰の骨(腰椎5個)、その下の仙骨・尾骨で構成されています。横から見ると、首は前に、背中は後ろに、腰は前にカーブした「S字」を描いています。
このS字カーブは、歩行や着地の衝撃をバネのように分散し、5kgほどある頭の重さを効率よく支えるための構造です。カーブが強すぎても(反り腰)、失われても(猫背・ストレートネック)、特定の場所に負担が集中します。
骨盤は背骨の土台
背骨は骨盤の上に乗っています。骨盤が前に傾けば腰のカーブは強くなり(反り腰)、後ろに傾けば腰は丸まり、背中も丸まって頭が前に出ます。つまり骨盤の傾きは、腰だけでなく背骨全体のカーブを決める土台です。
骨盤の傾きを決めているのは、股関節まわりの筋肉のバランス、お腹と背中の筋肉の働き、座り方や立ち方の癖、足元の荷重です。骨盤の傾きが変われば、腰も首も影響を受けます。
「動く場所」と「安定する場所」
身体の関節には、大きく動くことを得意とする関節と、安定を保つことを得意とする関節があります。
- 股関節:大きく動く場所。しゃがむ、脚を上げる、ひねるなど、下半身の動きの中心
- 腰椎:安定を担う場所。動きは小さく、上半身と下半身をつなぎ、力を伝える
- 胸椎:動く場所。ひねる、反らす、丸めるなど、上半身の動きの中心
- 首(頸椎):動く場所。頭の向きを変える
この役割分担が保たれていれば、腰は安定した状態で力を伝えることに専念できます。ところが、股関節や胸椎が硬くなって動かなくなると、その分を腰が肩代わりして動くことになります。本来動く場所ではない腰が動きすぎることで、筋肉や椎間板、関節に負担が集まり、痛みが生まれます。
これが、腰痛の方の股関節や背中を確認する理由です。
上下のつながり:足元から首まで
身体は足元から頭まで、一本の鎖のようにつながっています。
- 足のアーチが崩れる → 膝が内側に入る → 股関節の使われ方が変わる → 骨盤が傾く → 腰の負担が増える
- 骨盤が後ろに傾く → 背中が丸まる → 肩甲骨が開く → 頭が前に出る → 首肩の負担が増える
このように、痛みの出ている場所と、負担をつくっている場所は離れていることがほとんどです。膝の痛みの原因が足元や股関節にあったり、肩こりの原因が骨盤の傾きにあったりするのは、このつながりのためです。
筋肉と筋膜のつながり
筋肉は「筋膜」という膜に包まれ、隣り合う筋肉同士がつながって、身体全体に連続したラインを形成しています。たとえば、足の裏からふくらはぎ、太ももの裏、お尻、背中、首の後ろまでは、一続きの筋膜のラインでつながっていると考えられています。
そのため、お尻や太ももの裏が硬いと、そのラインを通じて腰や背中、首にまで緊張が伝わることがあります。「痛い場所と違う場所をゆるめると楽になる」のは、このつながりによるものです。
「かばう」ことで負担は移動する
痛みがあると、人は無意識に痛い場所を動かさないようにします。すると、その動きを別の場所が肩代わりし、新しい負担が生まれます。腰をかばってお尻が硬くなり坐骨神経痛が出る、膝をかばって反対側の股関節や腰が痛くなる、といった連鎖は珍しくありません。
痛みが落ち着いたあとに、かばう癖を戻し、動きの役割分担を元に戻すことが、再発を防ぐうえで大切です。
身体全体を確認する理由
ここまでお読みいただければ、清水接骨院が「痛い場所だけを施術しない」理由が伝わったのではないでしょうか。腰痛であれ、坐骨神経痛であれ、肩こりや膝の痛みであれ、症状の出ている場所は「結果」であることが多く、負担をつくっている場所を整えなければ、同じことが繰り返されます。
当院では、姿勢、関節の動き、筋肉の緊張、足元の荷重を全身で確認し、症状の出ている場所と負担の元になっている場所の両方に働きかける施術を行っています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の症状の診断や治療効果を保証するものではありません。症状が強い場合や長く続く場合、しびれや筋力低下、排尿・排便の異常などがある場合は、医療機関を受診してください。
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